---宮島先生より中国のファンの皆さんに簡単な自己紹介をお願いします。
宮島:「週刊少年マガジン」で『彼女、お借りします』を連載しています、漫画家の宮島礼吏です。よろしくお願いします。
---まずは「かのかり」はどうやって生まれたんですか?
宮島:最初のきっかけは、それこそ中国のネットニュースでした。「春節」の時期に、出稼ぎに行っている若者が帰省する際、家族からの「彼女連れてこい」圧力を避けるために、「レンタル彼女」を借りて親を安心させる、ということが流行っているってニュースです。それを読んで、「なんてしょーもない嘘つくんだろう。笑」と思うと同時に、「可愛いな」って思ったんです。このニュースが主人公・和也の人物像になりました。日本では「レンタル彼女」は「名前は聞いたことあるけど、どんなものなのかは詳しく知らない」くらいの認知度だったのも、漫画にする際ちょうどいいなとも思いました。
---前の作品「AKB49」や「もののて」の経験を「かのかり」で活かしてところはなんですか?
宮島:ジャンル選びの部分で活きていると思います。どちらの作品も女の子の評判がとても良かったんです。特に『AKB49』では、基本はアイドルスポコンですが、ところどころ差し込まれるラブコメパートの人気が結構良かった。なので、「女の子をメインに据えたラブコメ」というジャンルが、マガジン読者にも、自分にも合っているのかな、と考えるようになりました。
また、「絵を描く」という意味でも修行になりました。もちろんプロとして連載しているのですが、「上達しなきゃ損だ!」という気持ちで描いていましたね。
---取材のために、レンタルされたことがあると聞いてました、実際はどんな感じですか?
宮島:ちょっと「デート」よりも「取材」の面が強くなってしまったのですが、それでもまさに「理想の彼女」という感じでした! サラダを取り分けてくれたり、適度に話を振ってくれたり。そして何より、お金を渡す瞬間の何とも言えない寂しい気持ちは、忘れられないですね。笑)実際は振り込みにもできたのですが、「体験しなきゃ損!」という気持ちで、現金手渡しにしてもらいました。笑)
---「かのかり」のヒロインたちはみんな魅力的そして個性的、キャラのデザインにどんな工夫されましたか?
宮島:「そのキャラクターらしさ」が現れるように意識しています。シルエットで誰か分かるように考えたり、「このキャラはこの色」という印象になるようにしたり…。例えば、水原は「理想の彼女」で「王道ヒロイン」なので黒髪ストレートに、麻美は当時の女子大生のトレンドでもあったゆるふわボブに、元気で猪突猛進な瑠夏はショート、清楚で書道が趣味な墨ちゃんは編み込みで毛先が筆のようになっている、などですね。それぞれの服装も、「このキャラが着そうな服」というのを意識してデザインしています。
---「かのかり」のヒロインはそのファッションも魅力の一つなんですが、衣装を描くには参考にしているものはありますか。
宮島:ファッション雑誌を見て、「この服はこのキャラっぽいな」というのを探して選んでいます。例えば水原は『Ray』っぽいとか。ドンピシャのものがないときは、見つけた近しいジャンルの服装を少し変えて、よりそのキャラクターにハマるように調節しています。
---最近の連載で麻美の出番があんまり無いですが、今まで麻美の言動や伏線から見ると何か大きな展開がありませんか?
宮島:あります。笑) 出てきたらどうしたってかき乱すキャラなので、今はストーリー展開的にちょっと出せていないですが…。後々大活躍が控えているので、楽しみにしていてください!(笑)
---漫画を描いて時は、一番難しいところは?
宮島:まずは、「自分の好きなもの」「描きたいもの」を見つけるのが大変で、時間がかかりますね。さらに次の段階として、ただそれだけを描いても、読者には「面白い」と思ってもらえない、ということが難しいです。みんなにも「好き」「面白い」って言ってもらえるように表現しなきゃいけないんですよね。自分が描きたいもののところまで、「面白い」と思わせ続けたまま、読者を連れて行ってあげないといけないんです。そうやって「読者にずっと楽しんでいてもらう」ことが、ずっと難しいですね。
---ヒロインたちに一番付き合いたいのは誰ですか?
宮島:気分によります。笑 水原に叱られたいときもあれば、麻美に翻弄されたいときもある。瑠夏に「好き好き」って言ってもらいたいときもあれば、墨ちゃんに癒されたいときもあります。笑)
---ストーリーの着地点はもう決めましたか?
宮島:決まっています。「こういう話だろうな」というイメージはあるというか。でもきっと、それまでの話がどう膨らんでいくか、などによって変わっていく部分もあると思います。
---TVアニメ「彼女、お借りします」をご覧になった第一印象はいかがでしたか?
宮島:「『彼女、お借りします』だ!!」と思いました。笑) 漫画を読んでいる感覚と同じ感情になったというか。アニメと漫画は表現の仕方が違うので、それって実は難しいことだと思うんのですが、キャラクターデザインの平山さんの可愛らしい絵や『かのかり』の良さを十二分に理解してくださっている古賀監督のディレクションが素晴らしいからこそ実現しているんだな、と感じています。
---アニメ制作スタッフとのやり取りで、何か印象に残ったことがありますか?
宮島:スタッフの皆さんが、楽しく作品を作ってくださっているところが印象的でした。すごくノリのいい人たちが集まっていると思うんですよね。笑 なんでだろう…と考えた時に「『かのかり』という作品が呼び寄せたのか…?」なんて思うことがあるんです。作品自体がノリが良く、ある種ふざけている空気感のある作品なので、それを好きと言って集まってくれた人たちだからこそ、こんなにノリのいい現場になっているのかなと。もし仮にそうだったとしたら、描いていてよかったな、と心から思います。
---最後に中国大陸のファンの皆さんに一言をお願いします
宮島:ひょっとしたら日本よりも「レンタル彼女」という文化になじみがあるかもしれない中国の皆さんに、『彼女、お借りします』を楽しんでいただけて本当にうれしいです。ありがとうございます!女の子がたくさん出てきて、いわゆる「ハーレムもの」のような面白さももちろんあるのですが、それ以外にもサスペンス的な面白さもある作品だと思っているので、「萌え」が得意じゃない方にも、ぜひ読んで、見ていただけたらなと思います!
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