島田紘希日文版

このインタビューは、20205月に中国語にて掲載された記事を日本語版として再編集したものです。

 

----新ブランド「アニプレックスエグゼ」は発足されてから半年が経ってまして、いま振り返るとどんな感じでしょうか?

 

島田:ブランドを公に発表してからは半年ですが、実際に社内で企画を立ち上げてからは

実に2年になるので、ようやく作品を皆様に贈り届けられることを安堵しています。

開発会社や制作に携わったクリエイターキャストの方々は勿論、社内外でも様々な方にサポート頂いてきたので、作品を贈りだすにあたって協力頂いた方々への感謝が一番にあります。

ブランドへの応援の声や、作品への期待を寄せて頂いた方の声も非常に励みになりました。

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----美少女ゲーム業界と言うと、この数年間で幾つか有名なブランドは解散されてしまって、この不況のなかで、「アニプレックスエグゼ」を立ち上げ、わざわざノベルゲームを作る意義とは何でしょうか?

 

島田:一人のファンとして10年以上美少女ゲームやノベルゲームに親しんできた立場から言うと、このジャンルには時代を問わない普遍的な魅力があると信じています。(たとえば20年前のゲームを今プレイしても、面白いものは面白いです。)

 

出版業界であれ映像業界であれ、時代の中で好不況の波はあります。だからとって「なぜいま本を出版するのか」「なぜいま映画を作るのか」とはならないはずです。わたしたちを魅了してやまない何かがそこにあるから、どんなジャンルの作品もきっと作られ続けているわけで、アニプレックスがノベルゲームを作る理由もそこにあります。

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----全年齢対象ゲーム、そして低価格で販売についてはどうお考えでしょうか?

 

島田ANIPLEX.EXEのテーマとして、「ノベルゲームや美少女ゲームが好きな方」は勿論、「このジャンルに触れたことがない人」にも作品を届けたいという思いがあります。入口を広げるためには、価格や描写のハードルを下げる必要がありますので、結果として今の形に着地しました。

当然、「成人向け」作品にしか描写できない魅力もあることは重々承知しているのですが、それは数多くの実力あるブランドの皆さんが行っていることでもあり、差別化が必要であったことも理由の一つです。

 

 

----第一弾の2タイトル、どちらでもSteamで世界に配信される予定ということですが、海外市場は最初の段階ですでに意識してから作るんでしょうか?

 

島田:海外のユーザーの皆さんは非常に重要だと考えていますが、だからといって僕自身は「海外向け」に作品を作る、ということは意識しませんでした。まずは自分たちがしっかりと「面白い」と思う作品を作ることが重要だと思ったからです。自分たちが面白いと信じるものが、触れて頂いた方に国を問わず受け入れて頂けるようであれば、これ以上幸せなことはありません。

 

 

----海外市場では最近、中国の売上が大きくなってという印象がありますね。そしてインディーズ的なノーベルゲームや日中共同でゲームを作る人も増えている感じがします。アニプレックスエグゼといったビジョンからすると、今後中国のクリエイターや会社と提携されてゲームを出せる可能性はありますか?

 

島田ANIPLEX.EXEはまだまだこれからのブランドなので、どんな未来もありうると思っています。中国をはじめ各国のクリエイターと共同で作品を作る…といったこともありえますし、ブランドとして「面白い」と思える試みであれば、(会社が許してくれる限りは)どんなことであれチャレンジしていければと思っています。

 

 

----美少女ゲームでは「シナリオこそ作品クオリティの上限を決める」というお話があるんですが、アニプレックスエグゼとしては、作品の構成に意識されてるところはなんでしょうか?

 

島田:美少女ゲームにとってシナリオはとても重要だと思っています。だからといって、イラストや音楽、演出が重要ではない、という意味ではありません。全ての要素が絡み合うからこそ唯一無二の面白さや魅力が出てくるジャンルなので、どのセクションも構成上重要だと考えて作品作りに臨みました。

 

ATRI』にせよ『徒花異譚』にせよ、制作に携わったすべてのクリエイターが

その思いに応えてくださったと思っているので、とても感謝しています。

 

 

----2タイトルの成り立ちについてお教えくれますでしょうか?

 

島田:『ATRI』は、まずシナリオの紺野アスタさんにお声がけしました。『向日葵の教会と長い夏休み』でSCA-自さんと紺野さんが一緒に作品作りを行った    経緯もあって、枕さんに制作をお願いすることとなり、紺野さんがFrontwingに在籍することが  決まってから、Frontwingさんにも入って頂く形となりました。  ロボットものを作りたい、というこちらの希望を、紺野さんに膨らませて頂き「アトリ」が動き出しました。

 

『徒花異譚』は、大石竜子さんのイラストや海原望さんのシナリオが個人的にも大好きだったので、  両者と作品作りを行ったご経験のあるライアーソフトさんに始めにご相談に伺いました。  大石さんが描く「和」のビジュアルをみたい!というところから、海原さんにシナリオを検討頂き、日本の昔話を題材とした物語となった形です。

 

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----プロデューサーとして作品の制作に関わってる島田さん、大変なことや意識したことがありますか?

 

島田:自分が一人のユーザーとして、作品をどう思うかということを意識しました。

自分が面白いと思えば、ユーザーの皆さんも同じような思いを持ってもらえるだろう…ということを信じながら、できる限り今回制作に携わったクリエイターの「ファン」としての自分を忘れないように心がけたつもりです。一方で製作者の一人であることは事実なので、作り手の自分と受け手の自分のバランス感を保つのが難しかったです。

 

 

----島田さんご自身は「美少女ゲーム大好き!」と伺っていますが、一番気に入って作品やクリエイターさんに関して是非お聞かせください。

 

島田:心に残った名作は本当にいっぱいあるので、一番を上げるのはなかなか難しいですが、人生の転機となったのは、田中ロミオさんがシナリオを手掛けた『CROSS†CHANNEL』です。ノベルゲームや美少女ゲームに没頭するようになったきっかけになりました。

今回スタッフとして参加頂いている方々の作品でも、『この大空に、翼をひろげて』や『サクラノ詩』、『フェアリーテイルレクイエム』、『Forest』、『さよならを教えて comment te dire adieu』等々…影響を受けたものは数多くあります。

 

 

----これからの美少女ゲーム(ノベルゲーム)業界の未来についてどう考えていますか?

 

島田:今も昔も変わらず、美少女ゲームやノベルゲームは常に心を揺り動かす素晴らしい作品で溢れています。だから未来も変わらず、そうした作品が世に贈り出され続けるのだろうなと思います。

 

 

----今後アニプレックスエグゼの動向について教えてください。

 

島田:何よりまず、『ATRI』と『徒花異譚』を1人でも多くの方に楽しんで頂きたいと思っているので、そのためにできることを引き続き考えていきたいです。

 

 

----最後に島田さんより中国の読者に一言をお願い致します!

 

島田:今回第1弾としてリリースした作品いずれも、ノベルゲームとしての魅力が詰まった作品になっていると思っています。是非、プレイしてみて頂けると嬉しいです。そして今後もANIPLEX.EXEをよろしくお願いいたします!

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